8月31日 福岡~熊本

8月31日 福岡~熊本
天草を牛深に向けS500で走った。
ワインディングを気持ちよく流していると、突然目の前にS600が現れた。64'初期、私と同色のタイプだ。
後に付いて少し様子を見る。荒削りではあるがS600を上手にライディングしている。彼はワインディングに入り、急に回転を上げた。11,000rpmのエキゾーストノートで私は不意を突かれ、置いていかれてしまった。
私のS500はチューニングを施しているので、何とか追いつくことができた。
前を走るS600は、コーナーが甘いのに気が付いた。そう、彼はヒール・アンド・トゥが荒削りで、チェンジ時に回転がうまくつながらないようだ。次のコーナーで私は3速11,000rpmから少し半クラ気味でヒール・アンド・トゥ、4速9,000rpm~から彼の横をすり抜け、横に並んだ。なんと、2台のSのエンジン音が同調し、11,000rpmで8気筒V8のレーシングサウンドになった。
『ウォーーン』
彼のコーナーのヒール・アンド・トゥの甘さを私は見過ごさなかった。横に並び、一気にS600を振り切った。
次の瞬間、S6は消えた。

そう、前を走っていたS6は44年前の私、19歳の少年であった。
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当時、私は熊本でS6を数日間レンタルし、天草を釣りをしながら旅をした。旅先でS6をレンタルし釣りを楽しむなど、当時としてはなんと贅沢な話だ。宿泊など色々な事があり、このような事になった。たいした所持金も無い中、不安の中でS6をレンタルした。S6のハンドルを握っているときは楽しくて、毎日ドライブをしながら11,000rpmの世界を楽しんだ。
今回の天草を旅してみたいとの思いは、東京に居てもずっと思っていた。44年前の自分を見つける旅でもあった。
※2台のSの同調音の件。
この話のヒントは、京都で友達のS500と京都~琵琶湖に向かう途中、何度かエンジン音が同調し、 まさしく「V8レーシング」のエキゾーストサウンドになったことによる。
思いつくまま、プチ小説を書いてみました。




コメント

  1. この小説(妄想?白昼夢??)気に入った。
    お父さん、小説も書けるんだね~。
    19歳の峯岸青年はコーナリングが未熟であったか。
    なんとなく、浮谷東次郎を思い出したよ。

    こんな素晴らしい旅ができてよかったね。

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